セラミック矯正のデメリットと私がセラミック矯正を選んだ理由

私は、セラミック矯正について興味をもってから、さまざまな「デメリット」について調べた。

審美歯科のHPなどで、メリットとして上げられているのは、
・どんな歯並びでも劇的に短期間で治る
・最短2日で終わる
・費用が安い

というあたり。

セラミック矯正を検討する方の中でも、このメリットに心を惹かれる方は多いだろう。

たとえば、
・大人の矯正だと時間がかかる
・就職活動や婚活などで短期で直したい
・矯正している間の矯正器具が目立つのが嫌
・大人の矯正だと100万円以上のお金がかかる

などなど、いろんな背景がある。

審美歯科の広告にあげられているメリットのほとんどは、実際には「本当ではない」

嘘でもないけど、本当でもない、というか。

どんな歯並びでも劇的に短期間で治る、について

かなり歯並びが悪い場合、歯の向きを変えなければならないので、神経を取る必要がある。
特に生え方が悪ければ抜歯になる。
劇的に変化しているとしたら、たぶん抜いている。

最短2日で終わる、について

2日で終わるのは、通院1回目で歯を削って仮歯をセット、通院2回目でセラミックの本歯をセット、という場合であれば2回で終わるのかもしれない。
でも、実際には、神経を取った場合は、根幹治療をしなければならないのでその分日数がかかる。

そして、通院2回の場合、仮歯の調整はいつしているのだろうか。
仮歯は、本歯が入るまでの、機能や見た目を検討する重要な役割で、その調整なしにセラミックの歯がセットされてしまったら、もう後には戻れない。
だから、時間がかかっても、仮歯の調整は何度か必要。その分の日数もかかる。

歯を削る際も、神経の処置の際も、歯茎に麻酔を打つため、歯茎が一時的に腫れる。
その腫れがひくのを待って次回の処置を行うため、治療完了までは時間がかかる。
もちろん、次の予約がすぐに取れるとも限らないので、歯科と自分との予定を合わせなければならないし。

費用が安い、について

全顎で考える矯正と比べて、「気になるところを部分的に」直せるのがセラミック矯正のメリットかもしれない。
しかし、「気になる所」が与えている影響は、自分で思うよりも範囲が広いかもしれない。

例えば、前歯が2本出っ歯だとして、「この2本がひっこめば…」と思うかもしれないけれど、なぜ前に出て来たのかと考えると、きちんと並ぶスペースが足りなくて、前へせり出してきたのかもしれない。
となると、前歯を2本直すだけではスペースが足りないので、結局横の歯も少しづつ小さくしないとバランスがおかしくなる。
結果、前歯4本とか6本の治療の必要があるかもしれない。
そして、歯の向きを変えるとなると、神経を取ることになる。
で、上を直したとなると、下の歯との噛み合わせもズレてくる。
…というように、以外となんだかんだで費用は安くない。

セラミックで5万円以下などの特別に安い歯もあるけれど、内側がセラミックではなかったりもするのでよく調べる必要がある。

そもそも、私だったら、「特別に安い歯」は選ばない。
なんだか怖いから。
すでにセラミックにするだけでリスクがあるのに、より大きなリスクを抱えるなんて怖すぎる。

…というように、セラミック矯正のメリットとしてあげられているものは、そんなに「いい条件」ではないかもしれない。
もちろん、その人の状況によっていい場合もあるので、そこはよくよく考えたい。

どんなことも、耳障りのいい言葉には、隠れた真実が潜んでいる。

セラミック矯正のメリットとデメリットを再度考える

まずは、デメリットの方は明確で、

歯の寿命を縮める

セラミックの被せもの自体は長持ちしたとしても、土台の歯の寿命は確実に縮まる。
神経を抜いた歯の寿命は10〜15年と言われており、歯周病や虫歯のリスクの高い人だったらもっと早い段階で抜歯になる可能性もある。
どのくらいもつか…は誰にも明言できないけれど、あれだけのことをすれば間違いなく大きなダメージを与えているに決まっている。

歯の根の向きや顎の位置は変わらない

歯の向きを変えたい場合、神経を取って歯をギリギリまで小さく削れば、歯の向きは気に入った向きにできるかもしれない。
でも、歯茎の中にある、歯の根の部分の向きは変わっていないので、後にまた歯の向きが変わってきてしまうこともある。
もちろん、無理矢理向きを変えていることで、噛み合わせに影響が出ることもあるかもしれない。
また、顎も含めた全体の位置を変えているわけではないので、思っていたような理想の口元にならないこともある。

お金があったとしても、何度も作り直せるわけじゃない

中の歯に問題が起きたり、歯茎が下がって境目が見えてきたり、なんだかんだの理由で、セラミックの歯は作り直しの時期が必ず来る。
お金はかかるけれど、じゃぁ、お金持ちだったら何度でも直せるかというと、たぶんそうではない。
元の歯の状態や削った量にもよると思うけれど、直す度に歯は削られていくので、最終的には削る歯すらなくなり、インプラントや入れ歯の選択になる。

じゃぁ、メリットは…?!というと、これがメリットが思いつかない(笑

では、なぜわたしはセラミック矯正に踏み切ったのだろうか?!

歯を「動かす」という矯正は骨にダメージを与える

歯を削るセラミック矯正も充分怖いんだけど(私のセラミック矯正体験記でどれだけ怖い思いをしていたかを綴っている)、20年近く、歯周病で、「歯が動く」(抜ける)恐怖を感じていた私にとって、「歯を動かす」のはさらに怖いものだった。
少しずつ小さな力をかけて、だんだんと歯を正しい位置に動かしていくということが、どうしても怖かった。
動かしている最中に歯が抜けてしまうんじゃないか?という不安が消えなかった。

これは、私が3年前に歯周病の歯周内科の治療をしていたときの写真で、この治療期間の半年の間で、下の前歯の位置が動いている。

↓歯周病の治療中の写真(けっこう隙間が空いている)


↓上記の写真から半年後(その隙間がだんだん閉じている)


↓その後数ヶ月で隙間が閉じている(結果隙間は完全に閉じて隣の歯とくっついている。この写真はセラミック矯正をはじめる最近のもの)

歯周病による歯茎の炎症と歯茎に埋まっている根が減って行く中で、わたしの歯は自然と動いていた。(この隙間が空いている状態)
それが、歯周内科治療をして、歯茎を退縮させて「歯茎が引き締まった」(歯周病の症状はよくなった)ことにより、歯が正しい位置に戻って行った。

歯茎に埋まっている根の量が減ると、歯は自然と動く。
・年とともにだんだん歯並びが悪くなってきたな
・なんだか歯と歯の間に隙間が空いてきた
・昔より、歯が前に傾いている気がする
なんてことがあったら、それは歯周病のせいかもしれない。

そんなこれまでの私の経験を思うと、「矯正はできないこともないけれど、その間に歯が抜けてしまうかもしれない」というのは、大きなリスクと不安だった。
「出来ない」とはっきりと明言されたわけではなく、「なんともいえない」と言うのが、いくつかめぐった歯科で言われたことだった。
もっと根気よく、「なんとしても自分の歯で!」と思えば、「出来ます」と言ってくれる歯科に出会えたかもしれないけれど、やっぱり、自分自身が、「たぶん無理」と思った。

そして、わたしは、今なら安定している歯茎のうちに、セラミック矯正に踏み切ったのだった。

自分の歯の寿命と、人生の寿命と、生涯にかかる歯の治療(メンテナンス、作り直しなど)にかかる費用を考えて、よくよく考えて決断して欲しい。
そう思いながら、私の治療の記録と、予後についても綴っていきたいと思っている。

経験者、またはプロの意見は…?というと

では、セラミック矯正の経験者や歯科医の見解はというと、こちらのリンク先を参考にした。

まず、私のお気に入りサイトである「歯チャンネル」。
このサイトには、毎日2万人もの、歯の悩みを持つ人々が集まっている。
中でも、セラミック矯正をしてトラブルに合った人の質問が後をたたない。
とりあえずセラミック矯正のデメリットを考えるなら、セラミック矯正関連のスレッド(トラブル)は全部目を通しておきたい。

例えばこんなスレッド。

クイック矯正(補綴矯正)|歯チャンネル歯科相談室

オールセラミック(陶器の被せ物)|歯チャンネル歯科相談室

審美歯科美容歯科|歯チャンネル歯科相談室

ただ、このサイトには、「トラブルに合った人が質問をしている」だけなので、本当にすべてのセラミック矯正をした人が後悔しているとも限らない。

「セラミック矯正をしてよかった!」という人もたくさんいるけれど、良かった経験を持つ人は、この歯チャンネルに相談をしてこない。

たとえば、こんなページもある。

これは発言小町のあるスレッド。
セラミック矯正をした方、その後いかがですか? : 美容 …

 ここでは、質問者は「死にたいくらい」に罪悪感と不安を感じている。

そんな死にたいくらいの人に対しては、やっぱり前向きな意見が集まっている。
セラミック矯正をして10年以上トラブルがなかった人、笑顔になれてよかった人、そんな「やってよかった!」と思う人もたくさんいる。

後々自分で後悔しないためには、やっぱり「よくよく考える」ことしかない。
どちらの道がよかったかは、誰も分からない。

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