第十二話:点と点が繋がる、真理の追究

この日の治療は、いつもと同様、2時間半の枠を取ってもらっていた。
(この歯科では、2時間半の枠と1時間の枠があるっぽい。)

そして、前回出来なかった下の歯の根幹治療の続きをする予定だった。

ところが!
この日は、全く治療が進まなかった。
なんと、「話」だけで2時間が過ぎてしまったのだった。

私が、「正しさ」なんてことにこだわりすぎたことで…。

やっぱり消えない発音の違和感

前回の治療(第十一話)で、私の歯の見た目は、「制限のある中でのベスト」な状態になっていた。
ビフォーアフターの写真を眺めているだけでも、見た目はグンとよくなっているのが分かる。

ただ、この「噛み合わせの正しい状況」が、私はすぐに慣れることができなくて、「こんなに前歯がかみ合ってていいのだろうか…?」と悩みながら、日々、話したり、食事をしたりしていた。
こんなに前歯同士がガンガン当たっていいのだろうか…?

私は、身の回りの人に、
「ねぇ、奥歯をカチンと噛んだときって、前歯って当たる?」
と聞いたりもしていた。

みんな、
「うん、当たるよ」
と言うので、やっぱり、私の今の歯の噛み合わせはたぶん正しい。

前回から2週間経った今、この違和感には少しずつ慣れていって、「そういうものだんだ」と思うようになっていった。

ただ、どうしても慣れなかったのが、サ行の「ス」と「シ」。
この「ス」と「シ」がすっごく言いにくい。
前歯ががっつりと閉じていて、空気の抜ける抜き間がほんの少しもない気がして、どうしても言えない。

でもこれも、私が「正しくない状態」で発音に慣れてしまったからなのだと思う。

気になる点は、この「発音の問題」(私が慣れればいいだけなのかどうか)と、「正しさ」「制限のある中でのベスト」について。

この点をまずは、先生に聞いてみよう。

正しい噛み合わせ、とは何か

私:「先生、噛み合わせのことなんですけど、そもそもの歯並びで正しく噛み合っていなかったからだと思うんですけど、今噛み合いすぎてる気がして、気になるんです。本当に、こんなに前歯って噛み合ってていいものなのかどうか、って。」

先生:「今の状態は、噛んだときに前歯が触れ合ってる状態で、正しい噛み合わせの状態です。ただ、これまでの噛み合わせと変わったことで、しばらくは違和感を感じるかもしれないんですけど、これ以上、上の歯と下の歯の隙間を開けてしまうと、オーバーバイトになってしまうんです。上と下の歯に隙間が空いてしまうと、つまり麺類とかが食べられない状態です。」

私:「なるほど、この隙間は開いてる状態がだめなんですよね。これでいいんだ、ってことが分かれば、あとは私が慣れればいいだけですよね。
あと、発音なんですけど、スとシがすごく言いにくいんです。これも慣れなのかもしれないですけど…。
でも、スとシって、前歯に少し隙間がないと言えなくないですか?」

先生:「見せてください。うーん、あとほんの少しなら、下の歯を薄くして前歯との隙間を開けることはできるかな…。オーバーバイトにならない範囲で、少しだけ今日調整してみましょうか。」

私:「でも、今の状態で正しいなら、私がそれに慣れます。」

先生:「噛み合わせというのは、長年の習慣とか筋力の使い方とかひとそれぞれなんで、それに合わせて、ご自身が一番違和感なく使えるように調整していくことが必要なんです。正しさと使いやすさのベストなバランスを見ていきます。」

私:「でも、毎回ちょっとずつ変えていくと、無意識に、「前との変化」を自分で探してしまいますよね。そうなると、永久に調整が終わらないんじゃないか…と。」

先生:「まだ、下の歯は1回しか調整していないですよね。だいたい、あと2回くらいは調整して、様子を見て…、って、やっていくと、改善されていくと思います。今の段階でまだ改善(選択)の余地もあります。」

私:「分かりました。あと、見た目のことなんですけど。」

「制限のある中でのベスト」とは…

私:「前回、先生が「制限のある中のベスト」な状態と仰いました。
この2週間考えて、この歯を使ってみて、その意味がすごくよく分かりました。
歯単体で見ると長いと思うんですけど、話している時の上の歯と下の歯の見えるバランスは今の状態がベストだと思いました。
そのうえで、お聞きしたいんですけど、「制限」というのは、
・上の前歯3番を削っていない
・歯周病によって奥歯が前に倒れてきているにも関わらず奥歯の背が高い
・下顎がちょっと前へ出ている
の3点だったと思うんですが、ほかに何か制限ってありますか?」

先生:「いや、この3点だけです。」

私:「じゃぁ、その制限を外す方法ってありますか?私がいろいろ考え過ぎなのかもしれないんですけど、制限があるなら、その制限が何なのかを知りたいし、制限を外す方法があるなら外したいんです。
そして、「正しい」状態って何だろう?ということが気になってしまうんです。

先生:「まず、上の3番を削るのは、多少は変わるけど劇的に変わるわけではないです。
そして、奥歯の咬合が高いのは、奥歯全部削って被せものをしていく、という手もあります。奥歯が既に被せものやインプラントが入ってる方でそういう選択をすることがあります。
下顎が出ていることに関しては外科手術になります。これはかなり大掛かりになりますし、治療中のリスクが高いので、おすすめではないですかね。
もっと、分かりやすく下顎が出ている症状の方もいますよね。上の歯より下の歯が出てる、ってことです。そうなると、噛むためにどんどん内側に下の歯が傾いたりという状態になりやすいんですけど、そういう場合は、顎の骨自体を切るという外科手術も考えられます。ただ、リスクよりメリットが上回る場合の選択なので、今の○○さんの状態だと、そのリスクを取るのはデメリットだと思います。」

この下顎が出ているというのは、ほんのわずかなことで、私自身気にしたこともなかったし、今回「噛み合わせ」と「歯並び」に関して、じっくり考えた中で知った事実だった。

外科手術…骨を切る…、なんてことはリスクがありすぎるし、そこまですることではない、と思った。
怖いし…!!

私:「なるほど…。制限の外し方は分かりました。あとは、リスクとメリットのどちらが上回ると私が感じるかですよね。
ところで、そもそものこうなった原因って、つまり顎のアーチが狭くて歯が重なって生えてきたことだと思うんです。
ちょうど今、娘が、7歳なんですけど、私と同じように、顎が狭くて永久歯の生えるスペースが足りなくて、顎を広げる床矯正をしてるんです。毎週ネジを回してすこしづつ顎を広げて行く、っていう。この装置を見たときに、「あぁ、私が必要だったのはコレだったんだ」と思ったんですね。私も子どもの頃にコレをやっていれば、将来こんなことにならなかった…って。だから、娘がすごく羨ましい。アレと同じことを私がする、ってわけにはいかないんですよね。

先生:「そうですね、通常は床矯正は子どものケースです。大人の床矯正もできないこともないんですけど…、顎の骨自体は動かないんですが、歯の位置を変えることはできますかね。そうであれば、床矯正よりも通常の矯正の方が向いていると思います。ただ、多くの場合は、4番を抜歯してスペースを作り、前歯を後ろに下げる、ってことになります。

私:「4番を抜歯って、4番って1cmくらいありますよね。この1cm分のスペースが歯の移動で埋まるんでしょうか?」

先生:「埋まるんですけど…、ただ、○○さんの場合は、歯周病があるので、この奥歯の567番はすでに骨が3分の1の状態で、この状態で動かすのは、かなりのリスクです。すでに歯周ポケットが7mmある箇所があって、歯の根は1cmくらいなんで、ほとんど歯の根が骨に埋まっていない状態です。この状態だと、矯正の最中に抜歯になる可能性が高いです。そういう意味で、せっかく矯正しても、結果、抜歯してインプラントなどの選択にならざるを得ないということになります。」

私:「…。となると、矯正は難しいってことですよね、それも前に言われましたよね。
分かりました。そうなると、私が「正しさ」に近づくことって何をすることでしょう?
つまり、この正しい歯並びの模型のようになるにはどうしたらいいですか?

(そこには、正しい咬合を説明してもらったときに使った正しい歯並びの模型があった。)

先生:「今の仮歯の状態でも、噛み合わせも見た目も正しい範囲ではあるんですけど、どこまで求めるか、ですよね。
今までのお話の中でいうと、全歯を削って全ての歯をセラミックにする、ってことです。奥歯も全部削って、被せものにすれば、奥歯の噛み合わせも変えられますし、奥歯の高さを変えることで、咬合高径を調整できますし、前歯の長さも変えられます。

私:「咬合高径ってどういうことですか?」

先生:「(見本の模型を持ちながら)これが正しい歯並びの模型です。この前歯を噛んだ状態で、上の歯の根元から下の歯の根元までの長さが18ミリくらいです。
○○さんの模型(最初に取った型で作ったもの)は21ミリくらい。そもそもこの範囲が高いんです。これは骨格の問題で。
だから、前歯を噛み合わせた状態で1ミリくらいしかかぶらないんです。
それが、奥歯を削ったとすると、前歯が2、3ミリ噛み合った状態にできます。そうすると、上の歯も下の歯も、長さを短くすることができますよね。

私:「なるほど、今の自分の奥歯の噛み合わせに合わせてるから、今こういう状態(歯が長い、咬合が高い)までしかいかない、ということですね。この奥歯を削りさえすれば…、歯を短くできる…。」

先生:「はい、そういうことですね。ただ、奥歯は天然歯なので、どこまで求めるか、です。」

私:「やっぱり削るのもったいないですよね。あと、自分じゃ奥歯ってよく見えないので、それ(フルマウス被せもの)をやったとことで、どんな風に全体が変化するのか、にもよりますよね。」

先生:「そうですね。これも模型を作ってみて、ご相談する、ってことです。
あと、フルマウスで、出来る範囲のこと全部やりたい、ってことで被せものをするにしても、奥歯の歯周病が進んでいる部分をどうするか、です。

私:「どうするか、というと?」

先生:「この6番はこのまま歯周病が進行していくと抜歯の可能性が高いです。そうなる前に、歯周病の再生治療をした方がいいです。そうすると、最終的に被せもので見た目を整えるにしても、歯が長持ちします。」

私:「再生治療…?今奥歯はグラグラもしていないし、自分では問題ないと思ってたんですけど…。」

先生:「今はよくても、この6番が揺れはじめると、隣の歯をダメにします。そうなる前に、抜歯した方がいいこともあります。」

私:「抜歯!?全然揺れてないのに?」

先生:「はい、あとは、フルマウスでやるなら、まず不必要な親知らずを4本抜歯します。そして5番7番を残すためにも、6番を抜歯してインプラントにします。その過程で、退縮した歯肉を増やすか3分の1になった骨を増やす治療をします。」

(抜歯….骨を増やす…インプラント…)

再生治療、インプラント…、まさかの展開

私は、奥歯のことは考えてもいなかったので、頭の中が整理しきれなかった。

私:「ちょっと待ってください…。えーと、この話は、最初は見た目の話で、前歯を短くしたいなー、というところから始まって、制限を外す方法の中でも、選ぶとしたら、奥歯も削って咬合高径を調整する方法、って話になりましたよね。
その中で奥歯も削って被せものにするなら、歯周病の再生治療を先にした方がいいってことですよね。その過程で、抜歯とインプラント。ちょっと、考えなきゃならないことが増えすぎて、混乱してきました…。」

先生:「そうですよね、いまお話したことをちゃんと分かろうとすると膨大な量になるんです。その中から必要な部分を今少しお話しただけなんですけど、実際にその選択をするとなると、まだまだ選択しなきゃならないことがあります。
歯茎を再生するのか、骨を増やすのか、など。
今の状態は、歯周病がうまくコントロールできている状態なので、このままの状態を保ちつつ、前歯の治療を進めるってのが、今やっていることです。」

私:「で、その中で、見た目をベストに近づけたいって私の要望で奥歯の話になった…と。
ところで、親知らずは何で抜くんですか?歯周病で、できるだけ将来歯を残したい、と考えているのに、親知らずを抜いちゃうって、なんだかもったいなくないですか?私の親知らずは、痛くもないし生え方も噛み合っていると思うんですけど。」

先生:「親知らずは、なくても噛み合わせの機能には問題ないのと、あとは前の7番の清掃性をよくするためです。7番を保存するために、8番を抜く、ってことです。
ただ、確かに、仰るように、「積極的に治療を進めない」というプランもあります。
できるだけ自分の歯で、ギリギリまで残そうと思ったら、歯周病のコントロールをしながら、8番も噛むための歯として機能してもらいます。
再生治療を積極的に進めるかどうか、次第なんです。」

私:「うーーん、難しい…。自分の歯で頑張ってどこまでもつかは分からないんですよね。だとしたら、骨が少しでもある早めの方が再生治療のためにはなる…と。」

先生:「正直、いますぐに抜歯対象なわけではありません。ただ、今後歯周病が悪化すると、抜歯になる歯はあるかな…という、今の歯周ポケットの状態から予想できるだけで、どうなるかはやってみないと分からないんですよね。
そこで、ご自身で選択してもたうためにも、できるだけ情報をお伝えしています。」

長くなってしまったけれど、このとき、治療開始からあと少しで2時間経過するところだった。

2時間も、私は「正しさ」を求めて、質問をし続けていたのだった…。

全顎(フルマウス)セラミック計画

先生:「一度、フルマウスを治療するうえでの模型を作ってみましょうか。また8000円かかるんですけど、一度シュミレーションしてみないと、どの程度見た目が変わるのか分からないですし。」

私:「そうですね。歯の長さを短くしたいという話から、話が膨らんでしまいましたが、この案でどこまで短くできて、見た目のバランスもよくなるか…ってことですもんね。どうするかはそれは追々またじっくり考えます。」

先生:「まずは今は根の治療が終わっていないので、そこを進めるのと、今日は先ほどの仮歯をほんの少しだけ調整してみますので、発音など、また使ってみてください。
今日は、模型を作るために今の状態で再度型取りしますね。」

点と点が繋がる

私は、今日2時間で話したことを整理しながら、すごく重要な話をしていた気分でいた。

それが「何」なのか、私はアタマの中で、「正体」を一生懸命探した。

再度、ピンク色の粘土のようなもので型取りしながら考えていた。
(この型取りは苦手…。嘔吐反射が強いので、ウッとなってしまう。身体をおこすと幾分楽になる)

・私はなぜ、「正しさ」「制限を外したベストな状態」に拘っているのだろうか。
・なぜ、自分で決めたことに、ウジウジと悩んでいるのだろうか。
・今の状態でも、充分によくなっているし、当初の目的を果たしているというのに、なぜ気分がすっきりしないのだろうか。

これまでの経緯を思い出しながら、先生との会話を反芻していた。

今日の会話は、文章にするとサクっと書いているけれど、先生は、答える度に、「うーーーん…」と悩みながら回答していた。
書いている文章の量以上に、私はあれこれ質問をしていた。

その選択をしたことによってどうなるのかは、誰にも分からない。
正しい道なんてない。
「コレ!」という何かがないからこそ、こうして悩みながら答えてくれていたのだと思う。

そんな、「絶対にコレをしなきゃダメです」というわけではなく、正解はないという前提で、選択の幅を広げるために、明言を避けながら、いろいろな可能性の話をしてくれた。
そんなところが、私はこの先生の気に入っているところだった。
だから、選んだんだった。
私はそれを改めて思い出した。

リスクも、受けるダメージも全て説明してくれた上で、選択肢を与えてくれていた。

過去の記憶、蘇る瞬間

そう考えていると、私は、ハッと、初診の時のことを思い出した。

初診では、検査のみで、何をどうするかや費用の話はなく、次回で提案を受けることになっていた。(初診のときの様子はこちら…
そのときに、帰りがけにこんな会話をした。

先生:「選択肢はすごくいろいろあります。」

私:「え、今話した以上に大掛かりになる可能性があるんですか…?」

先生:「矯正とか奥歯とかインプラントとか…」

このとき、なぜインプラントが出てくるんだろう?と、私は疑問に思った。
だけど、その疑問を私は忘れていた。

今日、歯周病の再生治療の話の中でインプラントの話が出て、あぁ、可能性、選択肢ってこのことなのか、と気づいた。

このとき、点と点が繋がった。

忘れ物が見つかった気分

私がスッキリしない気持ちでいる理由はコレだった。
何か忘れ物をしている気分だったのだ。

最初から、先生は、奥歯のこともアタマの中にあったはずだ。

でもそれは、2回目の診察では提案されなかった。

それは、奥歯の歯周病の問題は、今のところうまくコントロールできているので、今すぐどうこうしなきゃならない問題ではないということと、治療の範囲を出来るだけ少なくなるように、2回目では上の歯4本のセラミックの提案をしたのだと思う。
(もともと、下の歯に関しては、私はなぜかあまり気にしていなかった。)

その提案に満足して私はその場で決断したものの、まだどこかに、「選択の余地」はなかったのだろうか?と、たぶん、心のどこかに引っかかっていた。

今回、見た目の改善で私が「制限の中でのベスト」にいまひとつ満足できなかったことで、ここまで話が及んだ。
初診のときに先生がつぶやいていた、「矯正とか奥歯とかインプラントとか…」の答えは、今日の話でよく分かった。

私の選ぶ道は自ずと定まっていく。
ゴールが見えかけた。

全顎での模型があがってきたら、私はまた選択できる。
その時に、自分で選んだ道が正しいと信じられる気がする。

正直、天然歯を削ることには抵抗がある。
「正しさ」にこだわる気持ちも薄くなっている。

今日の会話の中で、正しい歯並びの模型を眺めながら、「この模型のようになるにはどうしたらいいですか?」と私は先生へ質問していた。

わたしは、そんな「見本通り」になりたいのだろうか?
そもそも、歯の問題だけでなく、たとえば自分の顔や姿形に満足しているのだろうか?

もちろん、満足なんてしていない。
欠点だらけ。
それでも、それを受け入れて暮らしているし、「完璧な見本」になりたいと思ったこともなかった。

それも個性だよね、と受け止めて、自信をつけながら、暮らしている。
みんなそうだと思う。

なぜか、私は歯についてだけ、妙な正しさへの回答を求めてしまった。
それは、おそらく、娘が矯正を始めたことにも関係している
この娘の治療は、私が「正しい」と信じて、最善の方法として選択した。
だからこそ、私自身が受けている治療は、相反するやり方で、「正しくない道」なのかもしれない、と迷いが消えなかった。

その不安も今日消えた。(私にとっては、矯正はデメリットが上回る)

娘をうらやましがる必要はない。
娘と比べることも意味がない。

私は私で、フラットな状態で、誰かと比べることなく、自分の持ち前を活かして、進む道を決めたい。

…というわけで!

治療は進まなかったけれど、私の気持ちは晴れやかだった。

フルマウスでのセラミック治療…規模も格段に大きくなり、リスクもダメージも多い。
ともかく、検討できる日を待とう。

ゴールを見つける大切な話

今日は、お話と型取りで、3時間が過ぎた。

私:「すいません、いろいろ質問しちゃったので治療が進まなくて…」

先生:「いいんですよ。治療は、やることが決まれば早いんで、こういったお話の方が大事なんです。ゴールが分かっている方が治療もやりやすいので。

私の選んだ道は間違っていない、心からそう思った。

 

↓では、本日のまとめ!

制限の外し方まとめ

上の歯の3番を削っていない
3番を削り、1、2番も含め、歯の長さが目立たないように調整することは可能。ただ、咬合の高さなどは変わらないし、劇的に変化できるわけではない。

咬合が高い
前歯を噛んだ状態で、上の歯の根元から下の歯の根元までの長さが18ミリ。
これが、「正しい歯並び」の模型の咬合の高さだった。
それに対し、私の咬合の高さは21ミリ。
3ミリほど長い。
歯での3ミリというのは意外と大きい。
これは、私が歯周病だとかそういうことではなくて、もともとの顎の骨格の問題。
これを治すなら、フルマウスでのセラミックで改善可能。
全部の歯を削れば、歯の形(縦横のバランスなど)は自在。(もちろん顎の範囲内で)
それにあたっては、歯周病の再生治療を先に検討した方がいい。
(↑今日の中で検討としてあがった案はコレ)

下顎がちょっと出ている
下の歯の方が上の歯よりも出ている場合などではなければ、リスクが高すぎる。

矯正
歯周病の奥歯が、動かしている最中に抜歯になる可能性が高く、満足できる結果にならない可能性が高い。

今後の治療方針についての考え方これから考えるべきこと

その1:積極的に歯周病の再生治療をする案
全顎で被せもの(セラミック)をする。
その中で、歯周病の再生治療をする。

その2:できるだけ歯周病の歯を長く持たせて積極的に治療しない案
いまやってきたことのみで、歯周病についてはメンテナンスを続ける。
ただし、見た目の改善は今以上は望めない。(すでに制限のある中でのベスト)

考えることが盛りだくさんだけれど、私は「考えること」が大好きなんだった。
考えるための材料は揃いつつある。

いやー、数ヶ月前に審美歯科めぐりを始めたときには思いつかなかった展開になっている…!
私はただ、前に出ている上の歯2本をひっこめたかっただけ。ただそれだけ。
やることも考えることも増え続けているけれど(お金もかかり続ける…)、私は毎回新しい世界を見ている。
それは、正直、「楽しい」。

「見た目」と「機能」と「健康」について、わたしは審美歯科を通して、その意味を学んでいる気がする。

美容と医療は違う。審美歯科はその境界を行き来している。
だから、こうして悩む。
わたしはそんな「悩むこと」を堪能していた。

 

次回は、今日出来なかった根幹治療の続き!
そのときに模型はまだ出来ていないので、次回は2時間で残りの根幹治療をまずは終わらせる。
(聞きたいことは山ほど出てきそうだけど、根幹治療が先に伸びると感染のリスクが高まるだけなので、まずはこちらを優先しなければ。次回はお話せずに黙っておこう、っと。)

 

仮歯も微妙にバージョンアップ

あ、型取りの間に仮歯は微妙に調整した。
下の歯を少し薄く、上の歯を気持ち短く…。と、いっても、見た目ではまったく分からない程度。
それでも、空気の少し抜ける感じは、口の中で感じている。
一応、見た目では分からないけどほんの少し変わったので、下記のビフォーアフターでは新バージョンと入れておく。

元の歯
【見所ポイント!】
・歯の根が見てる、傾いている、など…詳しくはこちら
上の歯:一代目仮歯
【見所ポイント!】
・上の歯4本を一気に仮歯へ
上の歯:二代目仮歯
【見所ポイント!】
・上の歯4本を丸みのあるデザインからシャープなデザインへ
・上の歯4本を短く(前回と見比べると、前歯2本が犬歯よりわずかに短くなっている)

上の歯:二代目仮歯
下の歯:一代目仮歯
【見所ポイント!】
・下の前歯6本を一気に仮歯へ
・抜歯した穴が…
・仮歯6本が斜めにささっている(口を開けた写真の方が分かりやすい)
上の歯:三代目仮歯(今ココ!)
下の歯:二代目仮歯(今ココ!)
【見所ポイント!】
・下の歯6本の厚みを減らし、外に出しつつも、外に出ていないように丸みを持たせている
・下の歯6本の先端が直線的ではなくアーチのように(口を開けた写真の方が分かりやすい)
・下の歯に合わせて、上の歯の厚みを調節し歯を長く(前回と比べると犬歯よりわずかに長い)
・上の歯が長く見えないように、上の歯4本とも横幅も大きく(前回と比べると丸みも出ている)
 
上の歯:四代目仮歯(今ココ!)
下の歯:三代目仮歯(今ココ!)

【見所ポイント!】
・特になし。見た目はほとんど変わってない。
・一応、上の歯を気持ち(見た目では分からない)短くして、下の歯の表面の丸みを落とした。

 

【セラミック矯正のその日の治療費】

模型代 8640円
診察費 1620円

合計 10,260円

【セラミック矯正のその日のやったこと】

・お話
・下の歯を少し薄くし、上の歯も気持ち短くし噛み合わせの調整

【セラミック矯正の次回の治療でやること】

・根幹治療の続き

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