第二十四話:歯茎をペローンとする?再生療法

術後、「おつかれさまでした。これで終わりました。」と言われ、チェアーを戻され時計を見たそのとき、思わず2度見(3度見?)してしまった。

「あっというま」とはこのことなのか。

気づけば4時間が経過していた。

その4時間の間、私は、神経を研ぎすませようと(何が行われているか妄想したい)していたので、あまりに集中していて、ほんとに、「あっというま」という気分だった。

私は、気づけば汗だくだった。

結局、私は希望通り、静脈麻酔をせずに、4時間を終えた。

それも、先生が、途中途中で顎を休ませてくれるタイミングを作ってくれたので、思ったよりも顎は痛くなかった。

そのときは、なんだか「達成感」(私は口を開け横になっているだけというのに…)でいっぱいで、その後翌日からの「まさかの腫れ」に苦しむことを知らずにいた…。

再生療法オペ後の食事は?

最初に、以前から説明を受けていた再生療法の手順を聞く。

これから、長時間のオペになるので、「話すべきことは先に」と私は思っていた。
治療をはじめてしまうと、口を開けたままで話せないのと、麻酔が効いていると、話すのが面倒になってしまう。
だから、最初に、一番、先生に聞きたいことを聞いておこう、と思っていた。

私:「先生、オペ後の食事はどうしたらいいですか?」

先生:「オペした方(左)ではあまり噛まないように、できるだけ右のみで食べてください。」

私:「え、それだけ…?あの、私、細心の注意を払いたいんです。たとえば今日や明日は何を食べればいいですか?」

先生:「あまり強く噛むものでなければいいので…。お肉とかはやめておいたほうがいいとは思います。あとはピーナッツとかせんべいとかも…。」

(こんなときにピーナッツを食べるバカがいるか!)

ピーナッツもせんべいも永遠に食べなくていい!!
そんなことを望んだことは一度もないっ!

(私は、常に「最善」「細心」を求めているのに…)

私:「食事の内容は関係ないんですか?おすすめのメニューを教えてください。その通りにしますので…。」

先生:「じゃぁ、スープとか…。」

私:「分かりました!スープですね!スープにします。」

スープなら納得のいくメニューだった。
少なくとも「ピーナッツ以外のもの」よりも、はるかに私を安心させてくれる答えだった。

ともかく、あんまり食事の内容は気にしなくてもいいようだったけれど、それでも私は「細心の注意」を払いたい。

先生:「食事よりも、気にして歯茎を舌で触ったりとか、うがいを何度もしたりとかの方が悪いです。もちろん歯磨きも3週間はしないでください。歯間ブラシもですよ。歯磨きの変わりに、このコンクール(うがい薬)でゆすいでもらいます。

歯周病の再生療法〜エムドゲイン

早速歯茎を切って、中のクリーニングに入る。

私:「歯茎の切り込みは外側ですか?内側ですか?

先生:「両方です。」

両方の側面から歯茎をベローンと切る様子を妄想した。

私:「そしたら私もうしゃべれないですよね。その状態で。」

先生:「いや、意外としゃべれますよ。痛いとか、うがいしたいとか言ってもらえれば。軽くならうがいもできますので。」

(へー、意外としゃべれる?)

そして、まずは撮影会が始まる。
この撮影会は、私が術中の様子を見たいと望んだからなのか、それともこの治療のデフォルトなのか分からなかった。

でもなんとなく、撮影に手慣れているようではなかったので、デフォルトではない気が、私はしていた。
カメラはNikonD700。レンズはよく見えなかった。

撮りにくい箇所を撮るので、最大で3名の助手がついての撮影会だった。

カメラマン→先生
口角を開く係→助手その1
舌を押さえる係→助手その2
ミラーを入れる係→助手その3

私は申し訳ないことに、口が小さいうえに嘔吐反射が強いので、けっこうめんどくさい撮影だったと思う。

なんとなく、そのドタバタぶりを見ながら、わたしは「写真には期待しないでおこう…」と思っていた…。

以下の心の声もそっとしておいた。
(暗いからマニュアルフォーカスじゃないとピント合わないよ)
(被写界深度かせぐために絞ってね)
(重くて片手で持てないっしょ)
(ところで、そこにあるライカのマイクロスコープは…)

ちなみに、撮影会は、術中、術後にも行った。

なんだか、もうわがままを言ってはいけないムードだった。
(すでにもういろんなわがままを言ってるので…第二十三話:私はモンスターペーシェント?!

無事撮影を終えて、歯茎を切っての中のお掃除開始!

歯の側面に切り込みを入れて、歯茎をペローンとする。
私は目を閉じながら、その様子を妄想した。

Tシャツヤーンっていう、切った端がくるっと丸くなるあんな感じ。(たぶんね)

中をガリガリとしたりキュイーンとしたり、いつものお掃除の音が鳴り響いていいた。

先生:「見えてはいるんですが取りにくい箇所に歯石があって…」
と、お掃除は難航していた。

「見えているのに取れない箇所の歯石を取る」
なんだか、すごい敵と戦っている気分!!

私は心の中でその戦闘を援護しながら、ただただ口を開いていた。

確かに、歯茎を切られていても、なんとなくしゃべれる感じがしていた。
もちろん話す必要はないけど、ホニャホニャとなら、しゃべれる感じ。

先生:「切ってみたら、レントゲン通り、4番5番は部分的に垂直の骨吸がありますが、6番7番は水平なので、骨が作られるのは期待できませんね。でもこうして中の歯石を取っただけでもいいと思います。かなり綺麗になっているので。見てみますか?」

私はそこではじめて、術中の自分の口内を鏡で見せてもらった。

(やったー!)

歯茎がベローンとなっている状態で手鏡を見せられながら説明された。

先生:「この部分、ここが垂直な窪みです。分かりますかね?これが骨。本当はこのあたりまであるはずなのが、ここまで減っています。この歯の根の分岐部分にもう骨がないですよね。」

血だらけで見にくかったけれど、確かに、白い骨、そして歯の根が見えていた。垂直の窪みもかろうじて理解できた。

(レントゲンからの予測について、詳しくは第二十話で…

なるほど…。たしかに、レントゲン通りだった。
レントゲンで分かっていたものの、実際に、こうして骨の量を目で見たら、やっぱり「不安」だった。
あんな少しの骨で歯を支えているなんて…。

私は、骨の量の少なさ、そしてそれに対してアプローチできる方法もあとわずか(このオペで骨が増えるか分からない)であると、実感した。

歯茎は、最初に私が想像した通り、Tシャツヤーンのように、くるりんとめくれていた。

先生:「やっとこれでクリーニングが終わったので、生体材料とエムドゲインを入れていきます。いま顎の状態はどうですか?

私:「顎は全然問題ないです。」

クリーニングをしながら、少し顎をラクにできるタイミングを作ってくれていたので、私の顎は全然疲れていなかった。
(これまでの神経の治療の方が辛かった)

先生:「それであれば、このまま静脈麻酔なしでいきましょう。その方がいいですよね?」

私は、後半は静脈麻酔で意識がなくなるのは覚悟していたけれど、しなくても大丈夫そうだった。
私の顎はまだまだイケる!

そういえば、この日は、受付で最初にお会計を済ませていた。
いつもは、お会計は最後だけれど、今日は「静脈麻酔をしますので」ということで、最初にお会計をしていた。
静脈麻酔で眠ってしまうと、お会計もできないくらい、ぼーっとしてしまうということなのか…

ともかく、そのままの状態で治療は続行された。

先生:「いまからしばらくは口を閉じれないので、頑張ってくださいね。」

と言われ、麻酔も切れ気味だったので、途中、追加でしてもらった。

この「大事なとこ」では、唾液や血液が入らないようにしなくてはならないらしい。
そんな説明を、私にしているのか、それとも側でアシストしている人に言っているのか分からない口調で、先生は説明していた。

先生:「あとは縫合だけです。」

私は歯茎は麻酔で全く感覚がないものの、時々唇に触れる糸を感じならが、「縫われている感」を味わっていた。
針は、ブラックジャックに出て来るような、丸い弧のようなものなのか?
糸は何色なんだろうか?
パチン、とハサミで糸が切られる感じ。

私は、最後の仕上げを感じながら、そろそろ顎が疲れてきていた。

先生:「最後に固定装置をつけます。ほとんど動揺はないんですけど、念のため。

歯の頬側に無骨なワイヤがスーパーボンドで貼りつけられていた。
スーパーボンド、なんだかかっこいい名前。

ワイヤーの固定装置は、意外と目立つ。
でもいいか、動揺の恐怖をわたし経験済みだったし、動揺の痛みがおきるほうが不安だ。

(↑この銀色のワイヤーで4番から7番までが固定されている)

先生:「あとで、生体材料がボロボロと出て来るかもしれませんが、そのときも何もしないでください。舌で押し出すとか、やめてくださいね。そのまま、何もしないでください。今日はお風呂はダメでシャワーのみ、運動やアルコールはダメですよ。今日は麻酔をけっこうしたので、まだ麻酔が効いていますが、これはじきに収まりますので心配しないでください。」

私は、『なにをしでかすか分からない患者』と思われてるようだった…。(その通り)

「終わりましたよ。おつかれさまでした」

今日は、私は一度も時計を見ることがなかった。
だから、そう言われてチェアーを戻され時計を見たとき、4時間もの経過に驚いた。

私も先生も汗だくだった。

寝ているだけの私も、勝手に集中力を発揮して汗だくになる患者っ…!

ともかく、なんだか、「達成感」でいっぱいだったのだ。
ふらふらとしながら、私はチェアーから降りた。

次の予約は、(私の仕事の都合で来れず…)最短で2週間後だった。

先生:「途中、少しでも時間ができたときに傷口を見せにきてください。あとは、抗生物質を飲んで、うがいをして。途中で何かあれば見れますので連絡をください。」

私は、じつは、次の予約が少し先すぎるのが心配だった。

私:「◯日(4日後)なら来れるんですけど、近すぎますかね?」

先生:「大丈夫ですよ。◯日に一度予約を取りましょう。」

私は4日後の予約を取った。
その時は、まだその後の経過を全く予想していなかったので、この予約が出来たのは、私はツイていた。

【セラミック矯正のその日の治療費】

診察料 1620円
再生療法 172800円
エムドゲイン 40000円
コンクール(うがい薬) 1080円
合計 218700円

【セラミック矯正のその日のやったこと】

・再生療法
・前歯の仮歯をはずして仮歯のクリーニング(再生療法の最中に技工士さんがやっておいてくれた)

【セラミック矯正の次回の治療でやること】

・傷口のチェック?

 

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コメント

  1. より:

    “静脈麻酔無し”の再生療法、読みながらドキドキしてしまいました!さすがルンルンさん、歯茎ぺローンも余裕でしたね(^▽^) 私の歯医者さんは後日、術中の写真を見せて下さったのですが、やはり衝撃ですね。血と骨!と、骨の少なさorz
    口腔内が落ち着くまで、不自由だとは思いますが頑張って下さい*\(^o^)/*美味しいスープ、たくさん飲んで♪

    1. ルンルン より:

      魚さん
      いつも応援ありがとうございます♪
      魚さんも、後日写真を見せていただけたのですね〜
      やっぱり、レントゲンで分かってはいても、実物を見ると衝撃ですよね…
      でも、一生でなかなか、自分の顎の骨を見る機会はないので、しっかりと目に焼き付けておきましたっ!
      あれから3日経ち、大分落ち着いてきました。コンビニは今、冷たいスープシリーズが豊富なんです。スープ生活、満喫しています。あと、スムージーブームというラッキーな環境です☆

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