前回、ホワイトニングとクリーニングで、もう上の歯もなおすとこないし、このまま本接着でいいと思っていた。
そして、途中の5番の型取りもしたので、あとは、周りに合わせた色で5番のセラミックを入れれば、これで治療は一段落つく…と、私は開放感でいっぱいだった。
そんな開放感は、数日で終わりを遂げることになった…
前歯の異変と心配
ふと、歯磨きをしていると、下前歯が痛いことに気づく。
あれ?
思わず見逃してしまうくらいの痛みだけれど、確実にどこかに異変がある。
私は、一本一本の歯を爪で叩いて、痛みのある歯をつきとめた。
右下2番。
右下2番は、単独の歯で、一番、支台歯がアブないな〜と思っていた歯だ。
細いので、被せものを取ったら土台ごと抜けてしまうんじゃないかと危惧していた歯。
(だから、仮接着を飛ばして、下はすぐに本接着にした)
私の下前歯は、
左 ③❷◯❶②③ 右
で、❷◯❶番のブリッジで、3番の犬歯と右の2番が単独の歯だった。
この右の2番。
爪で叩くと響くような痛みがある。
だから、歯ブラシでこすると少し痛い。
この原因の2番に気づいてからというものの、食事をしていても、2番に当たりそうになると、やっぱり痛みを感じる。
2番をよけながら、食事をしている。
(なんで痛いんだろう…)
ついこの間セットしたばかりの歯で、なぜいまこのタイミングで…、と思っていた。
あの支台歯で、再治療可能なのかどうかも分からなかった。
仮に、2番にもしものことがあった場合、3〜3番のブリッジになるのだろうか…。
歯を削った時点で、歯の寿命を犠牲にしていることは承知だったけれど、異変が起きるのがあまりにも早すぎた(泣)
まだセラミックをセットして数週間だというのに…!
痛みの原因
私は、私の歯に何が起きているのか不安に思いながら、診察日を迎えた。
私:「先生、じつは、歯が痛いんです。右下の2番です。すごく痛いというわけではないんですけど、爪で叩くとこの1本だけ痛いんです。そして、わずかに揺れているように思います。」
先生は、え!と言って、私の口の中を見た。
先生:「動揺は、これは心配ない範囲です。ですが、痛いというのは…、もしかしたら歯の根が炎症をおこしているか、ひびがはいっているとかそういう理由が考えられるので、レントゲンを取ります。」
私:「あの…、こないだセットしたばかりで、何でこのタイミングなんでしょう(泣)原因はレントゲンで分かるんでしょうか?」
先生:「歯の根の炎症だったらレントゲンで分かります。ただヒビだとちょっと分からないかもしれません。」
私:「こうなったのは、運が悪いということでしょうか…」
先生:「マイクロを使った根管治療の成功率は90パーセントで、仮に保険の根管治療だとしても70パーセントくらいなので、そうおきることではないんですが…。」
そうおきることはなくても、現に今何かがおきていて、こうなる可能性になる歯はこの1本だけではなく、全部で9本。
私が神経を取った歯は9本あった。
ともかく、レントゲンで、真相を確かめる。
レントゲンを眺めると、2番の根の部分にうっーーーすらと黒い影ああった。
先生:「このうっすら黒い影が根の炎症かもしれません。もっとはっきりと黒くなる場合もあるんですが、今痛みが少しでもあるということは、これが原因で、これはほっといて治るものではないんです。
こうなると…、もし痛みが強いのであれば、すぐに処置します。
この歯は僕が最初に手をつけた歯なので…、もしも僕が根の治療をしたのでなければ、セラミックを外して、土台も外して、再度根管治療をするんですが、これはあのときマイクロでも見てるし、かなり綺麗に掃除してあるので、再根管治療はやっても無駄だと思うんです。
となると、外科的処置です。歯茎を開いて、歯の根を少し切って、この炎症部分を取り除きます。
これは、僕が最初に治療をした歯なので、料金も無料でやらせていただきますので…。」
私:「歯の根を切るとは、歯はそのままで、歯茎側から、歯の根を切るということですか?」
先生:「そうです。歯の根を3mm切ります。歯根端切除というんですけど。」
歯根端切除…、なんだかアグレッシブな名前の術だった。
あぁ、また外科か…。歯周外科の痛みが蘇る…。
私:「この炎症は、そっとしておいて、いつか治まるものではないのでしょうか…?」
先生:「はい、治ることはないです。いまはまだ痛みもないかもしれないんですけど、この黒い影が大きくなると痛むこともあるし、慢性的なものは痛みなく炎症が広がることもあります。急性的なものであれば、これは歯科の中でも最も痛いとされている病で、すごく痛くなる可能性もあります。」
歯科界最大の痛み?!どんな痛みなのだろう…。
今の痛みは正直たいしたことない。単に痛みに気づいたから報告したまでで。
けれど、そんな痛みになるかもしれない爆弾を抱えているのも怖い。
私:「歯の根を3mm切ることにデメリットはないんでしょうか?」
先生:「歯の根が短くなるということは、動揺しやすくなるかもしれないです…。やるとなったらCTを撮って正確な根の長さを調べますが… 。
歯根端切除は、最後の手段なので、本当ならやらなくて済むならやらない方がいいんですけど、とりあえず、痛みがなければ抗生物質を出しますので、年始まで様子を見ましょうか。今日CTも撮っておきましょう。」
私の歯の根が3mm減ってもつのだろうか…。そんな疑問を思いつつCTを撮った。
生成:今日はこのまま予定通りクリーニングをします。その間にCTを見ておきますので。」
先生は、去り際、「そうか…」と、つぶやいていた。
そうか。
そうなのか。
わたしは、心の中で繰り返してみた。
クリーニングと知覚過敏
歯の痛みに不安を覚えながら、この日は予定通りクリーニングを行った。
この日は、私のお気に入りの歯科衛生士さんだった。
(クリーニングは毎回担当の衛生士さんが違うのがちょっぴり不満だった)
この衛生士さんは、なんとなく安心できる。
だから好き。
クリーニングは順調に進み、60分が経過した。
衛生士さん:「2番のことは先生と相談中ですよね。ほかにクリーニングのことで何か気になる点はありますか?」
私:「クリーニングといえば…、毎回のことなんですけど、クリーニング後の知覚過敏がひどいんです。特に右下ですけど。」
この衛生士さんは、私の歯周外科のときにアシストしてくれた人だった。
衛生士さん:「ですよね…。クリーニング後しばらくすると落ち着きますか?」
私:「はい。まぁ慣れるんですけど。右下に限らずすでにほかも知覚過敏はひどいので。お湯で歯磨きしてるんですけど、歯磨き粉の冷たさでも飛び上がるくらいなんですよね…。」
衛生士さんは、シュミテクトをくれた。
衛生士さん:「これは、根本的な解決というよりは、使っている間だけ症状が緩和されるというものなんですが、染みにくくなると思いますので、よかったら使ってみてください。」
私の歯磨き粉コレクションに、シュミテクトが加わった。
ちなみに、前回はルシェロを購入したし、その以前はコンクールのジェル歯磨きも購入したし、うがい薬もある。
それぞれに違った目的があって、私は症状がひとつ増える度に、道具を増やしている。
しかし、その道具は、目的が違うからこそ、どんな風に使い分けたらいいのだろうか…。
・ルシェロ→着色
・コンクール→歯周病
・シュミテクト→知覚過敏
どれも私にとって必需品なんだな〜。
ともかく。
クリーニングは終わった。
次回は2ヶ月後に、クリーニングの予定になった。
それから、途中の、まだ仮歯の1本、左下5番の写真を撮った。
新たな術のデメリット
先生:「さきほどのCTの分析の結果なんですが…、根の長さは8mmでした。となると、3mm削ると危ないので、1mm削って生体材料で動揺しにくくします。」
私:「いまなら1mmで済むんですか?だとすると、病気が大きくならないうちに今手をつけたらいいってことですか?」
先生:「そうとも言えなくて、1mmのつもりでも、やってみて結果3mmくらい削ることになるかもしれません。これは歯茎を開いてみないと分からないんですけど..。」
やってみないと分からない。
この台詞を、治療の中で何度も反芻していた。
やってみてダメだったことが何度もあった。
でも、言葉通り、「やってみないと分からない」。
やってみて犠牲にするものもある。
だけど、やらなければ結果は得られないし、痛みがひどくなればそう考えている余裕もなくすぐにやらざえるを得なくなるんだろう。
私:「このまま黒い影が大きくなるのに比例して、痛みも大きくなるんですか?」
先生:「これもそうとも言えなくて、痛くないのに炎症が広がることはあります。このまま炎症が広がらないということもあるんですけど。だから、レントゲンで経過を見ていかなきゃならないんです。」
私は、今くらいの痛みなら、一生このままでもいいと思ったけれど、(我慢できる程度の痛み)これが大きくなったり、処置が遅れて根を削る量が多くなって抜歯になって6本連結ブリッジになるのだったら、早くに手をつけた方がいいのかもしれない、と思っていた。
またしても微妙な決断…!
先生:「とりあえず、抗生物質で痛みは治まると思います。でもいつ痛くなるか分からないので、年始に痛みが出てきたらすぐ連絡をください。そのときは、すぐに外科することになりますので… 。」
痛みがあまり出ていないのが幸いだった。
ただ、だからこそ、犠牲にするものを考えるとすぐに動けなかった。
私は、たくさん削って歯自体も大きく犠牲にしたわけだけれど、その結果さらに、歯の根まで削ることになるのかもしれない。
分かってはいたけれど、犠牲にしたものの大きさ実感する日は、思ったよりも早かった。
まだ治療を初めて1年も経たず、治療自体終わっていないというのに。
ともかく、歯科界最大の痛みに怯えつつ、次に打つ手が分かったのは安心だった。
どんどん打てる手がなくなりつつあるというのに、私は新たな手法を知る知識欲が満足していた。
最初に手をつけた人…
私は、治療の会話中、先生が「僕が最初に手をつけた歯だから…」という言葉を繰り返していたのが印象深かった。
根管治療は、「最初に誰が手をつけるか」が、すごく肝心なんだと、ひしひしと感じた。
私の歯の根を触ったのは(歯を削ったのも)、この世にひとりしかいない。
最初で最後の人であって欲しい。
何があっても、わたしはそんな風に思えるくらいではあった。
まぁ、いつもよい状況ではなんだけれど。
私が一番最初にした最も大切な選択は、間違っていない。この先どうなることがあっても、その度にどうするかに迷うことはあっても、たぶんそこは間違っていない。
そう思えるのが救いだった。
次の受診は、年始。5番の歯が出来ている。
最後のセラミックの歯!
これで私のセラミックの歯は全部揃う。
1年の終わりなんで、この1年の治療記録をビフォーアフター写真でダイジェストでお届けします
↓
【見所ポイント!】
・上の歯4本を一気に仮歯へ
【見所ポイント!】
・上の歯4本を丸みのあるデザインからシャープなデザインへ
・上の歯4本を短く(前回と見比べると、前歯2本が犬歯よりわずかに短くなっている)
下の歯:一代目仮歯
【見所ポイント!】
・下の前歯6本を一気に仮歯へ
・抜歯した穴が…
・仮歯6本が斜めにささっている(口を開けた写真の方が分かりやすい)
下の歯:二代目仮歯
【見所ポイント!】
・下の歯6本の厚みを減らし、外に出しつつも、外に出ていないように丸みを持たせている
・下の歯6本の先端が直線的ではなくアーチのように(口を開けた写真の方が分かりやすい)
・下の歯に合わせて、上の歯の厚みを調節し歯を長く(前回と比べると犬歯よりわずかに長い)
・上の歯が長く見えないように、上の歯4本とも横幅も大きく(前回と比べると丸みも出ている)
下の歯:三代目仮歯
【見所ポイント!】
・特になし。見た目はほとんど変わってない。
・一応、上の歯を気持ち(見た目では分からない)短くして、下の歯の表面の丸みを落とした。
...というわけで、このめくるめく歯科ドラマをぜひ1話からどうぞ…!→もくじ
【セラミック矯正のその日の治療費】
クリーニング 16200円
合計:16200円
【セラミック矯正のその日のやったこと】
・クリーニング
・右下2番のレントゲン、CT
・左下5番の写真撮る
【セラミック矯正の次回の治療でやること】
・5番が出来上がって来る?!
【これまでにかけた費用と時間、文字数】
・2954492円
・3810分(63.5時間)
・148943文字