第三十三話:ついにセラミックが完成?!

前回から2週間…、ついに、この日「セラミック」の歯が入る日だった。

前回色合わせに迷ってからいろいろ考え、私は、「やっぱりA2にすればよかった…!」と思っていた。

だって、やっぱり白すぎると不自然だもん。
私は、「白い歯」よりも「自然な歯」が欲しかった。

あまりに綺麗だと、やっぱり歯が目立ってしまうし(顔の中で)、私は、歯の事は出来るだけだれにも気づかれないくらいの印象でいたかった。

だからおそらく、「白すぎて、やっぱり修正!」ということになるんだろうな〜と思っていた。
修正はしてくれると言っていたので、気に入るまで修正してもらおう。

そしてついに、セラミックの歯と対面した。

(あれ?思ったより白くない?!)

先生:「じつはあのあと、写真を見ながら技工士さんとも相談して、ご希望の色よりも少し暗めに作らせてもらいました。」

私:「じゃぁ、A2ということなんですか?」

先生:「いえ、A1とかA2というシェードの違いではなく、微妙な色合いです。」

A1でもない、A2でもない、微妙な色に仕上がっていた。

私は、先生の手のひらの中で、その小さなセラミックの歯を眺めながら、「きれい…」と思っていた。

微妙なグラデーション。
歯の根に近づくにつれ、だんだんと色が暗くなっている。
表面のツヤ感。
歯の先のうっすら透明の部分。

とても綺麗だった。

少し暗くしたとはいえ、やっぱり前歯が一番明るかった。
でも、微妙なグラデーションがかかっているので、本物っぽいし、これはこれでいい気がしていた。

これまでの仮歯も、そこそこいいと思っていたけれど、コレを見たら、仮歯が団子のように思えてきた。

早くこの歯を装着したい!
私は、仮歯が急に団子に見えていたので、今日、接着してもいい気がしていた。

先生:「今日、これから適合を見ていき、よければ接着、または仮接着していきます。
ただ、仮接着といっても、ルンルンさんの場合、土台が細いので、外すときに土台ごとスポッと抜けてしまう可能性があります。
だから、仮接着するとしても、かなり煮詰めてから仮接着にします。
もしかすると、仮接着でとれなくなる可能性もあります。
でも、ぼくらがガンガンやっても取れない、ということはそのままでいいということなので、仮接着のままにしときます。」

私:「でも、仮接着の状態から外したい、ということは、何か問題があって外したいということなのではないでしょうか?
そのときに外れなかったら困るんじゃないんですか?」

先生:「そのときは、セラミックを壊します。また型取りとかしなきゃならないかもしれないですけど、そのときはそのときで。」

私:「なるほど…、仮接着だとしても、もうつけたりはずしたり自在にできるわけではなく、土台にダメージがかかるということですね。
だったら、今日これから上の歯の仮歯を外すとき、麻酔なしでできませんか?
麻酔してると、よく分からないんです、唇が動かないし、感覚が。」

先生:「上は2本は神経があるので、かなり染みると思うんですけど…。」

私:「染みる、ってどんな感じですか?我慢できないような痛みなのでしょうか?」

先生:「うーん、知覚過敏のひどいの…みたいな感じでしょうか?」

私:「仮歯を外す一瞬だけ我慢すればいいということですよね?だったら我慢してみたいです。」

私は、麻酔なしで仮歯を外す痛みがどれほどなのかわからなかったけれど、麻酔をしてしまうと、唇(鼻の上)が痛くなるので、一瞬の我慢ならイケる!と思った。

先生:「仮歯を外した後も、中のセメントを掃除したりもしなきゃならないので、まだ染みると思うんですが…、麻酔なしでやってみましょうか?
それでもし、接着するとなったら、そのときに軽ーーく麻酔をしましょうか?」

私:「はい、お願いします!」

やったー!私は、歯の麻酔が嫌だった。

仮歯は、下の歯から外していった。
こちらは、6本とも神経がないので余裕。
ただ、支台歯が細いのが心配だったけれど。

そして、上の歯…。
ゆっくりと、カンカンとたたいたりしながら外していく。

い、痛い…。

し、しみる…。

しみるとはこのことだったのか…!という激痛…!!!

土台の歯は神経ギリギリまで削っている状態だったので、すっごく響く。

先生:「ちょっとずつやりますので…」

いつもはサクっと外れる仮歯が、この時に限ってなかなか外れない…。

やっとのことで仮歯が外れた。

セメントを綺麗にする。
器具を使うとしみるので、手作業で、土台の歯を掃除していく。

しみるーーーーーーーー!!!

確かに、「知覚過敏のひどいの」という痛みだった。
私は、今までに感じたことのない痛みを感じていた。

知覚過敏のひどい歯に氷水をつけているような痛み。

ヒィーーーーーっ!!となる痛みだった。

けれど、それは、私にとって、我慢できないほどの痛みではなかった。

(まだイケる!)

そして、セラミックの歯を装着していき、適合をみていく。

まずは下の歯。順調。
一カ所ブリッジだけど、そのほかは単独の歯になった。

そして上の歯。

ヒィーーーーーっ!!

歯を装着する「触れ」だけで痛い!
この歯の「抜き差し」が一番痛かった。

歯と歯のすき間にフロスを通したり、適合をみながら何度か抜いたりさしたりのたびに、私の身体が痛みで震えた。

痛みで震えるたびに、先生は、「ごめんなさいねー」と何度もあやまっていた。

先生があやまる必要はなかった。
私の希望で、「麻酔なし」にしてもらってるんだもん。
でも、震えるたびに、あやまられた。

歯を装着し、先生がチェックする。

先生:「まだ、天然歯よりは白い感じがするんですけど…。でもカタチは仮歯より、いい感じになっていると思います。
特に下の3番をできるだけ目立たなくなるようにしているので、そこはかなり以前よりいいと思います。
後で噛み合わせは調整しますが。」

私は鏡を手渡され、セラミックの歯が入った状態を見た。

(たしかに白いけど、もうコレでいい気が…)

そう思えるくらい、ひとめで気に入った。

上の歯は、長さが目立たないようなカタチで、かつフラットな感じになっているし、下の歯(特に犬歯)も厚ぼったい感じがなくなっていた。

私:「もうほぼこれでいい気がします。」

もう、直すところはないように思っていた。

先生は、私の顔を近寄ったり離れたりしながら、何度もチェックしていた。

先生:「それから…、ここの歯と歯のすき間なんですが、隣の3番との兼ね合いも考えると、ほんの少しのすき間が空いてしまうのは仕方がないので、このままでいきたいと思います。埋めると、余計に目立ってしまうと思うんです。
ルンルンさんの場合、歯茎が見えないので、このすき間が見えることはほぼないのですが。」

歯と歯のすき間…上の歯の2番(セラミック)と、3番(天然歯)のすき間のことだった。

私は、このすき間は全く気にならなかった。
いやゆるブラックトライアングルの部分だけれど、他の歯がすでにスッカスカなので、むしろここだけ詰まってる方が不自然だし。

私:「はい、この部分は気にならないです。」

先生:「他に気になる部分は…、あ、ちょっと一カ所だけ修正させてください。ちょっと僕はココが気になってしまって…」

先生は技工士さんを読んできた。

先生と技工士さんが私の歯をじっくり見ている。
じっくりじっくり見つめられた。

先生:「ここをもうちょっと削って、ここを足して…」
と、ふたりは相談していた。

どうやら、微妙に歯が曲がって見えるようだった。

その微妙さは、何度も何度も近づいたり離れたりしながら見ないと分からないくらい微妙なものだったけれど、一度気づいてしまうと、すごーく気になってしまうようなものだった。

先生たちは、私の顔の真ん中にフロスをぴしっとガイドラインのように引いて、何枚もの写真を撮っていた。

先生:「微妙な違いなんですが、この真ん中のラインが少しだけ左に寄ってるんです。ここをほんの少しだけ修正させてください。微妙な違いなんですが、絶対にその方がいいので。」

絶対と言われると、そうなんだろうな〜と思った。

私の顔は歪んでいる。
目の大きさも、ほお骨の高さも、顎のラインも、左右対称ではなかった。
それは以前から気づいていたし、そもそも左右対称な顔の人なんていないので、あまり気にしていなかった。
ただ、あまりにも正中の話をされたら、気になってきてしまった(笑)

顎が左に曲がっているから、下の歯に合わせると、全体的に左に寄ってしまうんだな、と心の中で思った。

(なるほど…)

こういうのって、ほんとうに微妙なバランスの問題で、一度気になってしまうと気になって仕方がないということなんだろうな。
私自身も、鏡で顔を見えても気にならないけど、写真に撮ってじっくり見ると気になるということがよくあった。そういうアレなんだろうな。

ともかく、先生が「絶対にこうしたほうがいい」と自信満々なので、私は、「そうに違いない」と思えた。
先生が自信満々なときは、とても安心できる。
逆に、自信なさげなとき(予後が分からない、予測不可能なことがおきる)もいっぱいあったから。

その日は、時間切れでその場での修正は出来ず、後日修正後の歯を装着することになった。

…というわけで、私は再度、これまでの仮歯を入れた。

あぁ、本歯を見たら、仮歯が団子のように思える…
早くセラミックにしたいけど、予約が取れたのは2週間後だった。

あと一息…!次回こそセラミック装着?!

(顔がゆがんでいる…)

【セラミック矯正のその日の治療費】

1620円

(前回から今回までの間にセラミックの代金162万円は振込済み)

【セラミック矯正のその日のやったこと】

・セラミック完成!適合を見る?

【セラミック矯正の次回の治療でやること】

・本歯が入る?!

【これまでにかけた費用と時間、文字数】
・2740300円
・3300分(55時間)
・139278文字

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