【閲覧注意!!】第七話:はじめて歯を削る日

この記事では、治療中の怖ーーーい写真、お見苦しい写真が出てきます。

******************

初めて歯を削る朝、涙が止まらなかった。

健康な歯を削る。
せっかく五体満足で生まれてきたのに、ごめんなさい、そんな気分。

予定より30分早く着いた私は、カフェで珈琲を飲みながら、この決断、決断に至るまでのことを考えながら心臓がドキドキしていた。
歯の寿命を縮めたことによる、わたしの歯の未来を思うと、これが本当に正しかったことなのかと思う気持ちはゼロになはならい。

それでも、わたしはよく調べて、いろいろな選択肢をふまえ、もうこれ以上ないくらいに自分で考えた。
だから、正しいと信じたい。
この先、歯の健康が損なわれて、新しい問題がおきたとしても、わたしは悩み涙した日々を無駄にしないし、前向きに生きていきたい。
この3週間、歯のことを考えなかった瞬間は1ミリもなり。

あと10年幸せに過ごすことを目標に、わたしは期待をして、生まれてはじめて歯を削る。

この歯科に訪れるのは初診から3回目。
やっぱりドキドキしながら、泣きそうになるのを我慢して、診察台に座る。

先生がやってきて、「じゃぁ、今日はこの前歯4本でいいですね?」と、最終確認をする。

「はい。」と答える。

前回のカウンセリングでは、静脈麻酔で眠っている間の治療も考えたけど、この3週間で覚悟したので、麻酔はなしで進める。

私:「神経取るかどうかは削ってみないと分からないんですよね」

先生:「そうですね、1番は確実に取ることになるんですけど、2番は残せるかもしれません。」

私:「それは、削っている最中に、先生が見て分かる、ということですよね。神経って、見た目で分かるんですね?どんな見た目というか色をしてるんでしょう?」

先生:「ピンク色です。だんだん削っていくと見えるので、それは分かります。削ってみて、途中で見てもらいますね」

神経、というものがどんなモノなのか、わたしは気になる。

よく、「神経取ると歯の寿命が縮まるから」とは聞くけれど、固体なのか液体なのか、棒状なのか紐状なのか…?など、いろいろな妄想をめぐらせてしまう。
これからわたしの歯の健康に関わる重要なことなので、気にはなる。

先生:「歯を削るのは初めてでしたよね。分からないことばかりですよね。麻酔をしている間にスライドで説明しますね」

そして、麻酔。
歯茎に注射が刺さる感覚。そんなに痛くはない。ちょっと押される感がするけれど。
するとすぐに、歯茎や唇の感覚がなくなってきて、麻酔がきいてきた。

その間に、根幹治療のスライドを見せてくれる。
歯(そのスライドでは虫歯)を削って、神経を棒のようなもので書き出して、お薬をつめて、蓋をする。
分かりやすいイラストだったけれど、わたしは「本物」が見たいんだってば…!

というのは、たんなるわたしのへんな興味なんだと思うので、そのスライドではそれで納得する。

そしていよいよ歯を削る。
ギュイィーーンといういやなあの歯医者の音。

先生:「こんな感じで削っていきますけど大丈夫ですか?」(音やイヤな感じについて)

私:「はい、痛くないし、大丈夫です」

それから約30分、削り続ける。
前歯なので、よく水が顔に飛び散る。
音楽を聴きながら、どれだけの量を削っているのだろうかと想像して怖くなる。

わたしの健康な歯が削られていく。

30分ほど経って、

先生:「一度いまの状態を見てもらいますね」と、鏡を渡される。

麻酔がかかっており、口元の感覚があまりなく、唇を自力では上げられないので、指で押し上げる。
鏡で見た瞬間、

(すっごい削られてる…!)
(あまりに間抜けすぎる!)

と、想像はしていたけれど、想像の通りだったけれど、やっぱりショック。

わたしの前歯4本は、棒状に細くなっていた。

先生:「この1番2本は、ピンク色がかなり見えていますよね。これが神経です。この1番はもう神経を取っちゃいます。2番は、左は大丈夫そうなんだけど、右がうっすらピンクが見えかけてるの分かりますか?ここは神経取るかどうか微妙なところです。できれば残したいので、今日は取らずに様子を見ます。」

(このピンクが神経か〜)(細く削られた歯のショックであまりよく見えない…)(歯がないからうまくしゃべれない)

先生:「では、神経の治療をします。この間は唾液などが入るとまずいので、途中でうがいなどできなくて大変ですが、頑張ってください。もし我慢できないときは何か方法を考えますので、言ってくださいね。」

口を開ける器具をはめられる。痛い。あごが痛い。

わたしの口は小さいので、口を開けるのが苦手。
小さめの器具に変えてもらい、なんとか口を開ける。
途中で中断できない(唾液が入ってしまう)というのがプレッシャーになって、辛い。

(あごが痛いな〜)

この根幹治療が何分だったのか定かではないけれど、削っている時間より長く感じた。
あごが痛くて…

まだかな、まだかな…と思って、やっと終わる。

ちょっと苦い薬で型取りし、仮歯をつくってくれる。
型取りは、初回の模型作りでやったような全顎のものだと思っていたので、正直いつの間に型取りをしたのかよく分からなかった。

先生:「15分くらいで仮歯ができますので。」
と言われ、雑誌を持ってきてくれた。

その間にわたしはお手洗いに行った。
唇は麻酔で感覚がなく、歯茎は痛い。
トイレの鏡の前で再度細くなった4本の前歯を改めて見て、わたしは、「ごめんなさい」と心の中で思った。

(この写真は実際はこの次の治療の際に撮った写真で1番2本は神経の処置済み。だから白い。でも要はこんな風に4本を削った)

 

仮歯ができ、
先生:「ここにこんな感じで今日は仮歯が入ります」
と、仮歯をはめる感じで鏡で見せてくれた。

仮歯は4本連結している。
先生:「仮歯なので、4本繋がってますが、セラミックは独立して入りますからね」

わたしの口に仮歯をはめると、ラボの技工士さんが来てくれる。
そこで先生と何やら話している。
「ここをもうちょっとああやって…」などの話。
専門用語すぎて何を話してるのかよく分からないんだけど、なんとなく「わたしのためによくしようとしてくれている感」を感じて、わたしはこの2人の会話を聴いているのが好きだ。
初診のときにも、この2人がなにやら話していて、その会話の雰囲気が気に入って、「ここならいい歯を作ってくれそうだ」と感じたのかもしれない。」

一度はめた仮歯を再度技工士さんが調整してくれる。

先生:「じゃぁ見てもらいましょう」
と、態勢を起こされ、鏡で見てみる。

(正直、唇の麻酔でよくわからない…)

でも、確実に綺麗な前歯が入っている。

先生:「何か気になるところありますか?この後仮歯でしばらく使ってみてもらって、また調整しますので」

つけてすぐは、これがいいのかどうか(見た目はよくなっているのは分かる)、付け心地や使いやすさは全く分からない。

私:「しばらく使ってみます。今は麻酔がきいていてなんだかよく分からない感じなんですけど。
この上の歯を長持ちさせるためにも、下の歯がいまこうしてあたってるのは、やっぱりよくないんですよね。」

先生:「そうですね…。歯周病だと、やっぱり土台が弱いので1年くらいでになっちゃう方もいるし…、でも歯周病をうまくコントロール(進行しないように)すれば、長く持つ方もいますし…」

わたしはこの治療中に、(たぶん削られた歯をみたときかな)下顎6本もセラミックにしようと、心の中で思っていた

歯への負担は倍以上になる。
費用も倍以上。
歯の寿命も縮まる。

(合計200万以上になる!!!)

罪悪感も倍。
倍の罪悪感を背負って、歯を大切にしよう。
同じ治療を、子どもにはさせたくない。
若い人にもして欲しくない。
ほかの選択肢があることを知って欲しい。

ともかく、わたしは自分で選んだ道で後悔しない。
そして、自分の経験を多くの人に伝えたい。

というわけで、上顎4本はもう削ってしまった。

(これは、仮歯が入った治療の翌朝撮った写真)

 

元の歯の写真はこちらもどうぞ…

↑こんな風に下の歯が飛び出ていると、上の歯と噛み合わせが悪くなり、上の歯にも悪い。
もう歯茎内の歯の根が歯周病で少なくなっているので、常にぶつかっているだけで、歯が動いてしまう(抜けてしまう)のが、私には理解できたし、そうなるのを想像してしまったから…

それが、下顎6本を削る理由だった。
(でも「やっぱりやめた!」の選択肢は残っている。まだ麻酔がきいていて感覚がないし。)

 

ところで、うっすらピンク色がみえていた2番の神経を取っていない歯は、この後痛みは出ないのかな?

先生:「もしかしたら、後々うずく感じがあるかもしれません。もし痛くなったらすぐ来てください。そのときは神経取っちゃいますから」

出来るだけ神経を残す方向で、としてくれたのは有り難い。
痛まないといいな〜

私:「でも、この痛みって、はっきりと自分で分かりますかね。わたし虫歯とかなったことないんで歯の痛みが分かるかどうか心配で。もしセラミックにしちゃってから気づくんじゃ遅いってことですよね?この1〜2週間で神経取るかどうかの判断をしなきゃならないってことでしょうか?」

高いセラミックをつけてから、やっぱり神経を取らなきゃならなくてやり直すなんて、お金がもったいない。
どうせ痛むなら、すぐに痛みが出て欲しい。
でも将来痛む心配をして今神経を取るのももったいなくていやだった。

先生:「だいたいすぐ分かると思うんですけどね。もしもセラミックにしてからでも、裏に穴開けて神経取るとかできますから」

え!裏に穴を開けて神経を取るなんてことができるなんて。

セラミックを壊して作り直すわけではなさそうなので、そこは一安心。

わたしが診察台で横たわっていた3時間、そこでは何が行われていたのだろうか

それにしても、なんて細かい作業なんだろう。
わたしは日頃、細かい作業が得意で「手先が器用」と言われているけれど、なんだか「器用」のレベルが違いすぎて…
神業としか思えない。
ほんの1mmもないような世界の話。

じんわりと歯茎は痛いけれど、わたしは初めての治療を終えた。

次回の予約は2週間後。
はやく麻酔が切れて、口を動かしてみたいな。

 

【セラミック矯正のその日の治療費】

根幹治療 2本 5万×2本 108,000円
仮歯 6000円×6本 38,880円
診察料 1,620円
合計 税込 148,500円

(ちなみに、支払はその都度のやったことを支払って行く式で、セラミックの歯の代金は、「セラミックの歯」の型取りをした日に半額、その次に半額を支払う)

 

【セラミック矯正の次回の治療でやること】

・上の前歯2本の根幹治療
・上の仮歯の調整

 

(↑治療日の朝、最後に撮った元の上の前歯)

(↑治療日の翌日朝、撮った仮歯)

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す