第十三話:静かなる根管治療と繰り広げられる私の妄想

前回、私が2時間半の予約枠を「お話」だけで終えてしまったので、この日は「お話」は控えよう…と思っていた。

先生:「今日は、治療優先で、下の歯5本を土台をたてる所まで一気に進めたいと思います。」

と、私が喋り出すのを牽制してきた。

まずは根の治療!
最優先事項だった。
悩むのは後からでもいくらでも出来る。

下の歯5本のうち、前々回に左2本は根管充填(お薬を詰めるところまで)まで終わっているはずだった。
残り3本!

私は、この根の治療が一番辛い。
なぜなら、顎が痛いから…

私は口を大きく開けることがとても困難で、顎を休めないこの治療の時間がすごーーーく長く感じる。

もう顎が限界だ…と思いながら、私は口を頑張って開け続けていた。
(口を開ける器具は入れた方が辛いので入れなかった)

根管治療は、歯を削る治療と比べると、ずっと静か。
キュィーーンという甲高い音で歯を削るのと比べ、カリカリカリという根の穴の何か(神経)を書き出す音や、ズシンという穴を開ける音が響く。

0.3mmの穴の中で、何かが行われている。
その様子を妄想すると、なんだかドキドキして仕方なかった。

根の治療の時は、先生の鼻息が聞こえる。
他の時も鼻息は聞こえてるのかもしれないけれど、タービンの音でかき消されてるのかもしれない。
ともかく、なんだか「根管治療」は、「細かい作業をしてるっぽい」(実際にしているけれど)雰囲気が広がっている。

私は、趣味?で根管治療の動画をYoutubeでよく見ている。
そんな「目に見えない」動画を見ると、ワクワクする。

マイクロスコープの映像はHDなどに録画ができるらしいけど、デフォルトでそういうものなのか。
それとも、そういう接続をするとそうなるのか。
私は、「自分の根の治療を動画で見てみたい!」
と常々思っていたけれど、そんなことはもちろん言えなかった…。

私は妄想だけで我慢をし、顎の痛みを忘れるためにも、いろんな妄想を繰り広げた。

もし、私が歯科医になるとしたら?

顎の疲れを紛らわすために、どうでもいい想像をしてみた。

『もしも私が歯医者になったら、何を得意分野としようか?!』
(↑ほんと、どーでもいい妄想…)

歯周病で苦労してきたから、歯周病を研究したい気もするし。
でも、やっぱり、わたしは「根管治療」を得意分野にしたい!

だって、なんとなく、かっこいい!

私は、子どもの頃から、ブラックジャックに憧れていた。

ブラックジャックを彷彿とさせるのは、根の治療!

インプラントとかも面白そうだけど、なんとなく、根管治療にしよう。
動画を見ていると、工作っぽくて面白そう♪

私は、そんなほんとにどうでもいい妄想をしながら、根管治療のスペシャリストになると心に決めた。

歯科用語に萌える

そんな妄想中、ある言葉が聞こえた。
「マイクロエキスカ使います」と、歯科衛生士さんに伝えていた。

マイクロエキスカ!
なんだ、これは!
かっこいい用語!

私はその響きにうっとりしながら、忘れないように、「マイクロエキスカ、マイクロエキスカ…」と心の中で唱えていた。

マイクロエキスカは、右2番に使ったものっぽい。
(後で、診察の最後に右2番の掃除をしたと言っていた)

マイクロエキスカは、その後、チラ見した時にテーブルに載っていたものを確認した。
見た目もかっこいい。

それにしても、歯科用語というのは、なんて素敵な響きなんだろう。

マイクロスコープ、ラバーダム、カリエス、ファイバーコア、ガッターパーチャ、フィステル、SRP、オールセラミック、コンポジットレジン、歯根膜、抜随、コンプレッサー、スピットン、パーフェクトペリオ、バイオフィルム、…と、ドキドキする言葉ばかり!

(ただし、私の苦手なサ行のオンパレードである)

そんな言葉を聞いていると、私はワクワクするのだった。

あぁ、「マイクロエキスカ」と言ってみたい…。

根治根充が完了!

ピピピっと音のする機械(歯の根の長さを計る機械)を使いながら治療は進む。

先生:「今お薬を詰めるところまで終わりました。レントゲンを取りましょう。」

前々回の分も含め、計5本の根管充填が終わった。

このレントゲン(口の中に入れる部分的なレントゲン)がね〜、やっぱり私の口に器具が入らない。
上の歯の時と同様に、先生が押さえてくれて、どうにか5本分撮れた。

レントゲンに映し出された私の歯の根には、ぴっちりと白い影になっていた。

先生:「では、5本分、土台を立てます。」

私がどうでもいい妄想をしている中で治療は着々と進められる。

根管治療に完璧はない。
それがどんな精度なのか、私には分からない。
でも、きっとうまくいっていると、私は信じる。

だって、根管治療は、前歯1本5万円もするんだもん!

私は、虫歯になったこともないし、根の治療は始めてだけど、保険の根の治療はいくらなんだろうか。
10分の1くらいかな。
こうして、工作のような世界を妄想していると、「保険の根管治療は割に合わない」というのがよく分かる。

ちなみに、大手美容歯科の根管治療の費用は、前歯・小臼歯で1本8100円と書いてあった。

私にはその違いを何で判断したらいいのかが難しい。
だから、ともかく、信じるしかない。

疑うことと信頼することは、ひとつながりになっている。
疑問に対しての答えを常に与え続けてくれるから、私は、「信じる」ことができる。
その積み重ねだ。

信頼は、疑うこと(すなわち、「問い」を立てること)から始まる。

 

仮歯は内側が変わる(見た目は変わらない)

あ、ファイバーコアの後、型取り(苦い…)をして仮歯の中を調整した。
見た目は同じなので、下記のビフォーアフターには入れない。

元の歯
【見所ポイント!】
・歯の根が見てる、傾いている、など…詳しくはこちら
上の歯:一代目仮歯
【見所ポイント!】
・上の歯4本を一気に仮歯へ
上の歯:二代目仮歯
【見所ポイント!】
・上の歯4本を丸みのあるデザインからシャープなデザインへ
・上の歯4本を短く(前回と見比べると、前歯2本が犬歯よりわずかに短くなっている)

上の歯:二代目仮歯
下の歯:一代目仮歯
【見所ポイント!】
・下の前歯6本を一気に仮歯へ
・抜歯した穴が…
・仮歯6本が斜めにささっている(口を開けた写真の方が分かりやすい)
上の歯:三代目仮歯(今ココ!)
下の歯:二代目仮歯(今ココ!)
【見所ポイント!】
・下の歯6本の厚みを減らし、外に出しつつも、外に出ていないように丸みを持たせている
・下の歯6本の先端が直線的ではなくアーチのように(口を開けた写真の方が分かりやすい)
・下の歯に合わせて、上の歯の厚みを調節し歯を長く(前回と比べると犬歯よりわずかに長い)
・上の歯が長く見えないように、上の歯4本とも横幅も大きく(前回と比べると丸みも出ている)
 
上の歯:四代目仮歯(今ココ!)
下の歯:三代目仮歯(今ココ!)

【見所ポイント!】
・特になし。見た目はほとんど変わってない。
・一応、上の歯を気持ち(見た目では分からない)短くして、下の歯の表面の丸みを落とした。

【セラミック矯正のその日の治療費】

ファイバーコア(白い土台)1本20000円×5本 108000円
診察費 1620円

合計 106,620円

【セラミック矯正のその日のやったこと】

・根管治療の続き
・ファイバーコア(白い土台を立てる)
・仮歯の調整

【セラミック矯正の次回の治療でやること】

お話(第十二話の続き…)

 

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