私は抜歯した1本の歯をまじまじと見つめている。
抜歯した歯を、私は家に持ち帰り、すぐに採寸した
これまで私の身体の一部であったものが、いま私の身体から離れ、手のひらの上で、しょんぼりとしている。
それは、とても小さく儚いものに見える。
歯は、並んでいるときは、存在感があるけれど、こうして1本1本になると、とても小さい。
そんな私の歯の全長は21mmだった。
歯茎に埋まっていた部分が7mm、歯の見えていた部分(歯冠)が14mm。
歯の長さの平均は、私が抜歯した下顎1番は、
歯の長さ(平均)
19.9mm
歯冠の長さ(平均)
9.1mm
らしい。
と、なると、私の歯(の見えていた部分)は、やっぱり長い。
平均よりも5mmも長い!!
歯の1mmというのは、思っているよりもで大きい。
ただ、全長も、わずかだけど、平均よりも長かった。
歯の形状から見て、歯周内科治療で退縮した歯茎の量は3〜4mm位。
歯茎に埋まっていた7mmというのは、もちろん少ないけれど、この7mmのおかげで、私の歯は抜けずに済んでいた。
これが、何mmになったら、歯が抜け落ちるのだろうか。
私の歯は、いまはこんなに小さく削ってしまったけれど、それでも、まだ歯の根がこんなに埋まっていると思うと、私は少し安心する。(恐怖の第七話と第九話で削った歯の写真あり)
歯の根の病気になりませんように…と、私は願いながら、まだ根の治療を続けている。
神経のない歯は、枯れ木のように、栄養を吸い取ることができない。
娘の乳歯
娘は、なぜか、抜けた歯を小瓶に入れて集めている。
よく、下の歯は屋根の上の、上の歯は土の中に…と言うけれど、娘はこうして眺めていたいらしい。
わたしの抜いた歯も、瓶に入れておこうかな。
私はサメが羨ましい
「サメのように、次々と新しい歯が出てくればいいのに」と、本気でそう思う。
娘の歯が抜け始めたとき、下から新しい歯が生えてくるなんて、「サメの歯みたい」って思った。
サメは、2〜3日で次々と歯が生え変わる。
人間でいうところの、歯を支えている歯槽骨や歯根膜というものがない。
だから、使い終わったら抜け、新しい歯が生えてくる。
そして、常に鋭い状態を保てる。
でも、人間はサメと違って、一度しか生え変わらない。
生え変わるその瞬間は、生涯で一度しか味わえない。
私はサメの歯が羨ましい。
次々と新しい歯が生えてきたらいいのに、何度思ったことか。